133 弥陀の実体

弥陀の実体は非人格的法身真如だとするのが既成概念となっている訳ですが、これは本来区別すべき仏教の哲学面と宗教面を混同する誤りであると弁栄聖者は指摘なさいました。「もし報身阿弥陀仏が因縁因果の法則に規定された相対的現象態であり絶対なる真如の属生物であるなら宗教的本尊とはなり得ない」と。真如法性を最終目的とする他力の念仏では宇宙大霊の神秘は雲に隠れてその全貌を顕さないのですが、その先の道行きが示されないので正覚に至り得ない。経に「一切の諸仏みな悉く念弥陀三昧によって正覚を成じ給う」とあるのは念弥陀三昧以外の仏道修行で正覚を成じられた仏はいないと言う意味であるのに、それが何故かが分からないと言う事になります。凡夫は知り得ない事実ですが、心霊界には真空と妙有の二面があり、真空を観る慧眼と妙有を観る法眼とが円満に融合し同時に働いて初めて仏眼となり、その初歩の仏眼から相当程度進んで法身理想的啓示を被るに至って仏道修行の最難関に突き当たるのだそうで、唐の善導大師様も法然上人様もここで行き詰ってご苦労遊ばされたと言うのです。そして十劫正覚の西方浄土に在します阿弥陀仏を心本尊と仰いで修行した者も聖道門各派の修行をした者も並みの力ではとてもこの難関を突破し得ない事を深い仏眼によって洞察なさった弁栄聖者は、汎神教的信念による迷い道に分け入ることの無いよう初めから正覚への直線道すなわち超在一神的汎神教をお解き明かし下さったのだと私どもは承っております。参照：能見寿作　光明主義入門